谷川俊太郎 絵本★百貨展 展示デザイン
space / 2023
詩人の谷川俊太郎さんの200冊にも及ぶ絵本の中から約20冊を取り上げ、絵本の世界観を、音や映像、インスタレーションなどで楽しむことができる子どもから大人まで誰もが楽しめるおもしろい展覧会。
私たちminnaは6冊の絵本の原画をメインとしたゾーンの展示デザインを担当しました。
「おならうた」は、谷川俊太郎さんのリズミカルでコミカルな言葉と、今にも匂いまで感じてしまいそうなくらいのインパクトある飯野和好さんの絵が印象的な1冊。絵本の扉にも使われているおならの塊に入ってみたい!という好奇心を展示で表現すべく、おならドームを考えました。ドームの中には前屈みになるとよく見える位置に原画が展示されており、原画を見ているだけなのに周囲の人にはおならをしているポーズに見え、展示台の中央からは様々なおなら音が聞こえるので不思議と「くさい!」と匂いまで感じる錯覚をしてしまうような展示になっています。
「これはすいへいせん」は、つみあげうたで展開されていく特徴と、同じ水平線を辿りながら場面展開していく絵の魅力を、原画の水平線から引出された文字が繋がり増えていく様子を絵本の内容を読めずとも伝わりやすいキャプションで表現しました。
「オサム」は谷川俊太郎さんが先に詩を書いて、あべ弘士さんが絵をつけるという順番で制作され、詩の段階では人間を想定していた「いいひと」という言葉を、あべさんが絵に描いたらゴリラになったのがおもしろいポイントの絵本です。その「いいひと」らしさはゴリラのどっしりと構えたシルエットにあると考え、シルエットの要素のみに絞り込み構成することで、絵本のキーとなる「いいひと」を空間に抽出し伝えられるような展示にしました。
しりとり絵本の「ままです すきです すてきです」は、しりとりとしてもハチャメチャで、タイガー立石さんの絵の世界観もハチャメチャ。全部ハチャメチャなのに、ちゃんと繋がって絵本になっている。
ハチャメチャを理解しようとせず、意味とか難しいことを求めず楽しめる子どものように、絵本から感じたままのおかしい状態を展示会場に落とし込めるよう、突然、扉が現れたり、通常だとシンプルに仕上げる原画の背景に原画に負けないくらい強烈な額縁を背負わせたりと、インパクトと違和感を感じられる展示にまとめました。
「ぴよぴよ」はオノマトペのみで綴られた詩から、連想されたものを絵にした絵本。会場全体をぴよぴよが歩き回ってストーリーが進んでいくように、ぴよぴよ目線の低い位置にアクリル版にプリントした絵と文字を展示しました。
「ここはおうち」はjunaidaさんの新作絵本。この展覧会で新作発表でもあったので、ぱっと見の空間で物語を語りすぎてしまわないように心がけました。絵本のメイン要素でもあり、タイトルからでもわかる「おうち」の屋根を感じさせる赤いラインの下に原画を展示することで、おうちを軸に展開されていく様子を表現しています。
どの絵本も展覧会のコピーでもある「美しいより、おもしろく。意味があるよりおもしろく。」を表現できるよう、絵本の世界を拡張するような展示になっています。
Client_PLAY! MUSEUM
Produce_Blue Sheep
Collaboration_Shuntaro Tanikawa
Design_Mayuko Tsunoda / Satoshi Hasegawa
Construction_TOKYO STUDIO CO.,LTD.
Photo_Manami Takahashi(1-8,11-14,17-19)
https://play2020.jp/article/shuntaro-tanikawa/